ボルドーについて

ボルドー




3つの地区でそれぞれ違う、味わいの特徴とワイン格付けシステム

ボルドーのワインは全般的に生産者が大規模です。
畑とワイナリーのある「シャトー」として数少ないワインを造ります。
有名ワインも生産量が多く、一般的に手に入りやすいものが多くあります。

ボルドーにはフランス各地と同様、栽培地区のAOC(原産地呼称)の法律があります。
AOCは「地名にふさわしい品質をクリアしている」という保証です。
それぞれの生産者を位置付けてはいませんが、ワインの品質には階層があるのでここではAOCも「格付け」ととらえることにします。






メドック地区

川が生む、最も有名な格付けワイン

メドックとは、ジロンド川左岸の河口部に広がる地域。
特に良質のワインを生産するのは、サンテステフ、ポイヤック、サンジュリアン、マルゴーなどの村が有名です。
これらは川沿いで日当たりがいい丘陵地にあり、いずれもフランスを代表する数多くの赤を生産します。
畑の土はジロンド川を流れて堆積した砂利や粘土。その割合で個々の畑に向くブドウや、仕上がるワインの味わいが微妙に変わります。

メドックで使われるぶどう品種は主にカベルネ・ソーヴィニヨンで、通常メルローやカベルネ・フランを加えます。
カベルネは上品な芳香があって色濃く渋いため、土の香りがするような果実味のやわらかいメルローでバランスをとるのが一般的です。
そして、タイプの違う風味同士の相乗効果で、味わいに深みをえます。

ボルドーの格付けで一番有名なのは、1855年バリ万博に際してボルドー商工会議所が定めた「メドック格付け」でしょう。
当時の収引価格を元に、61生産者を1級から5級に分けました。
以降、1973年にムートンーロートシルトが2級から1級に昇格した以外に変更はありません。

ワイン生産地はボルドー市街を中心として河口に広がります。
蛇行するドルドーニュ川より北の「右岸」ではメルロー、ガロンヌ川より南の「左岸」ではカベルネ・ソーヴィニヨンを赤に多用します。
その間の地域は白や甘口が中心となっています。


グラーヴ地区

穏やかな味わい、秘密は砂利土壌

ボルドーのトップに挙げられるような赤白の辛口ワインが造られているグラーヴ。
この名は「砂利」を意味しており、この地区の砂利を含む土壌に由来します。
土壌の中にミネラル分か豊富なため、鉱物的な風味が豊かで穏やかな味わいが特徴です。

グラーヴ地区の格付けは、赤13本と白9本の主要ワインがリストアップされたシンプルなもの。
1959年に定められて以来、変更はありません。
メドックの格付けにこの地区から唯一加えられたオーブリオンを含め、全てボルドー郊外に広がるペサック・レオニャン地区の生産者です。

ボルドーには、ブルゴーニュに匹敵するような非常に美味しい白ワインがあります。
ソーヴィニョン・ブランやセミヨンを使ったグラーヴの白ワインがそれにあたります。
恵まれた環境に加えて、低温発酵や新樽での発酵・熟成といった醸造技術による品質向上が目覚ましい地区です。

カベルネーソーヴィニヨンとメルローのブレンドが多く、メドックのブレンドよりメルローが多めです。
柔かくなめらかな味わいで、後味にミネラル感が残るのが特徴です。


サンテミリオン地区とポムロール地区

隣村でも異なるスタイルと格付け

ボルドーの右岸側にある街、リブルヌ郊外の丘陵地帯に広がるのはポムロールとサンテミリオンのブドウ畑です。
隣り合わせている地区として、ポムロールとサンテミリオンを合わせて「リブルヌ」と分類していますすが、土壌やワインのタイプは全く違います。

一般的なスタイルとしてポムロールはメルローが多く味わいがやわらかくヴォリューム感のあるタイプで、
サンテミリオンはカベルネ・フランやカベルネ・ソーヴィニョンを加えており、しなやかな果実味できりりと上品なタイプとなります。

ポムロールは、AOCで定められた地域で造られ「ポムロール」と呼ばれる条件を満たしたワインを指します。
パワフルな味わいで長期熟成する高級ワインも多く造られていますが、生産者やワインをランク分けする格付けは存在していません。

サンテミリオンでは1955年に公式に定められた格付けがあります。
3つの段階があり、プルミエ・グラン・クリュ・クラッセはAとBの2クラスに分かれ、
その下がグラン・クリュ・クラッセに分類されます。
10年おきに見直しがある点が、メドックやグラーヴの格付けと異なる点です。

また、サンテミリオン地域一帯は、世界遺産に指定されているんです。
古風な市街周辺の丘陵地にはプドウ畑か広がっており、千軒以上の生産者がひしめいています。
ボルドーの中では比車的り小規模な生産者が多い地域です。




【メドックのシャトー格付け一覧】

グラーヴ地区のオーブリオンが例外的に1級に位置付けられる他は、すべてメドック地区の生産者のみ。

●第一級

ラフィット・ロートシルト:ポイヤック
ラトウール:ポイヤック
マルゴー:マルゴー
ムートン・ロートシルト:ポイヤック
オーブリオン:ペサック・レオニャン

●第二級

ローザン・セグラ:マルゴー
ローザン・ガシー:マルゴー
レオヴィル・ラスカーズ:サンジユリアン
レオヴィル・ポワフェレ:サンジユリアン
レオヴィル・バルトン:サンジユリアン
デュルフォール・ヴィヴァン:マルゴー
グリュオ・ラローズ:サンジユリアン
ラスコンブ:マルゴー
ブラーヌ・カントナック:マルゴー
ピション・ロングヴィル:ポイヤック
ピション・ラランド:ポイヤック
デュクリュ・ボーカイユ:サンジユリアン
コス・デストゥルネル:サンテステフ
モンローズ:サンテステフ

●第三級

キルヴァン:マルゴー
ディツサン:マルゴー
ラグランジュ:サンジユリアン
ランゴア・バルトン:サンジユリアン
ジスクール:マルゴー
マレスコ・サンテグジュペリ:マルゴー
ボイド・カントナック:マルゴー
カントナック・ブラウン:マルゴー
パルメ:マルゴー
ラ・ラギューヌ:オーメドック
デミライユ:マルゴー
カロンセギュール:サンテステフ
フェリエール:マルゴー
マルキ・ダレーム・ベッカー:マルゴー

●第四級

サンピエール:サンジユリアン
タルボ:サンジユリアン
ブラネール・デュクリュ:サンジユリアン
デュアール・ミロン:ポイヤック
プジェ:マルゴー
ラ・トゥール・カルネ:オーメドック
ラフオン・ロシェ:サンテステフ
ベイシュヴェル:サンジユリアン
プリウレ・リシーヌ:マルゴー
マルキ・ド・テルム:マルゴー

●第五級

ポンテ・カネ:ポイヤック
バタイエ:ポイヤック
オーバタイエ:ポイヤック
グラン・ピユイ・ラコスト:ポイヤック
グラン・ピュイ・デュカス:ポイヤック
ランシュ・バージュ:ポイヤック
ランシュ・ムーサ:ポイヤック
ドザック:マルゴー
ダルマイヤック:ポイヤック
デュ・テルトル:マルゴー
オー・バージュ・リベラル:ポイヤック
ペデスクロー:ポイヤック
ベルグラーヴ:オーメドック
カマンサック:オーメドック
コス・ラボリ:サンテステフ
クレール・ミロン:ポイヤック
クロワゼ・バージュ:ポイヤック
カントメルル:オーメドック